09年度介護報酬改定の概要(1) 居宅介護支援・介護予防支援
 厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会(座長=大森彌・東大名誉教授)はこのほど、2009年度の介護報酬改定の概要を提示した。各サービスの改定のポイントを紹介する。

 「居宅介護支援・介護予防支援」では、病院などとの利用者に関する情報共有、認知症高齢者や独居高齢者への支援、小規模多機能型居宅介護事業所との連携に対する加算などが新設される。

 また、介護支援専門員(ケアマネジャー)1人当たりの担当件数が40件以上になった場合、全件数に逓減制を適用する現行制度を改め、40件を超える部分のみを対象に、逓減制を適用する仕組みに見直す。

 介護事業経営実態調査によると、介護居宅支援の収支差率は05年にマイナス14.4%、08年にマイナス17.0%と悪化。また、ケアマネジャー1人当たりの利用者数は08年に平均26.9人となっており、標準担当件数の35人に近づけることについても、介護給付費分科会で論点となっていた。



 特定事業所加算は、現行で「500単位/月」だが、(J)「500単位/月」、(K)「300単位/月」の2段階に分ける。厚労省の調査では、現行の特定事業所加算が算定できない理由として、「利用者のうち中重度者(要介護3−5)の割合が60%以上ではない」「常勤専従の介護支援専門支援員を3人以上配置できない」ことを挙げる回答も多かったことを考慮し、算定要件が変更される。


 医療と介護の連携を強化するため、入院時や退院時に、利用者の情報を病院と共有した場合の評価として、医療連携加算と退院・退所加算が新設される。

 医療連携加算は「150単位/月」で、利用者1人につき1回を限度とする。利用者が病院や診療所に入院する際、利用者に関する必要な情報を提供することが算定要件となっている。

 退院・退所加算は2段階に分かれており、(J)が「400単位/月」、(K)が「600単位/月」に設定される。算定要件は、(J)が入院・入所期間が30日以下で、退院・退所に当たって、病院の職員と面談を行い、利用者に関する必要な情報の提供を求めることなどの連携を行った場合となっており、(K)は入院・入所期間が30日を超えて同様の連携を行った場合に適用される。初回加算を算定する場合は、退院・退所加算は算定できない。

 ケアマネジメントを行う際、特に労力を要する認知症日常生活自立度がL以上の認知症高齢者、独居高齢者などに対する支援を行った場合の評価として、認知症加算「150単位/月」と独居高齢者加算「150単位/月」を新設する。

 居宅介護支援を受けていた利用者が、居宅サービスから小規模多機能型居宅介護に移行する際に、居宅介護支援事業者が利用者についての必要な情報を、小規模多機能型居宅介護事業所に提供した場合などを評価する小規模多機能型居宅介護事業所連携加算「300単位/月」(介護予防支援も同様)も新設する。

 また、ケアマネジメントで特に手間を要する初回(新規に居宅サービス計画を策定した場合および要介護状態区分の2段階以上の変更認定を受けた場合)について、初回加算を月当たり50単位プラスして、「300単位/月」とする(介護予防支援も同様)。

 このほか、介護予防支援費を月当たり12単位プラスして、「412単位/月」とする。

更新:2009/01/06 19:49   キャリアブレイン